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国内外のベンチャーで大ブレイク中!社内チャットの「Slack」を徹底解説!

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こんにちは、nanapiマーケ部です。

今回は、最近注目を集めているチームコミュニケーションツール、「Slack」を紹介していきます。Slackとは、2014年に正式に公開された北米発のサービスです。

チームコミュニケーションツールとは、一言でいえば社内等でのコミュニケーションを行うツールです。Slackはチャットでのやりとりが中心となっています。特にシリコンバレーでは、「Eメールは死んだ」と一部で言われており、Slackやチャットワーク、Hipchatのようなチャットツールが多くの会社で使われてきています。

nanapiでも導入しており、弊社以外にもSlackを導入している日本の企業としては、BASE、coiney、Ednity、Increments、Lang-8、Wantedly、オモロキ、クラウドワークス、ハッチ、ペロリ、Bracket、Zaimなどが挙げられます。

海外だと、BuzzFeed、eBay、Airbnb、Tumblr、SoundCloudなどの企業が使用しているようです。

このように、大企業からベンチャー企業まで合わせて1万3000社、1日当たり12.5万人以上が愛用しているSlack。

そこで今回は、今大注目のチームコミュニケーションツール「Slack」について詳しく見ていきます!

※「チームコミュニケーションツール」という表現はSlackの以下の記載から利用しています。

team

Slackの沿革

まずは、Slackがどのように誕生したかについて見ていきます。

Slackの創業者は、画像共有サイト「flickr」の創業者でもある「スチュワート・バターフィールド」(Stewart Butterfield)です。

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↑創業者 スチュワート・バターフィールド
(画像:kris krüg

画像共有サービスである「flickr」と、チャットツールである「Slack」には共通点はないと思われる人もいるかもしれません。

しかし、1つ大きな共通点があります。

それは、Slackもflickrも副産物であったという点です。スチュワートはもともとゲームを作りたかったのですが、失敗し、その過程で使っていた技術を応用することで両サービスは生まれたのです。

2002年にスチュワートは、Ludicorpという会社を地元バンクーバーで現在の妻Caterina Fakeと Jason Classon(現Slackエンジニア)で創業します。当初は、「人々が勝ち負けのために行うゲーム」ではなく、ただ「プレイしたいからゲームに参加するようなゲーム」を作るために活動していました。

スチュワートは言います。

少なくとも2種類のゲームがあります。1つ目は、勝つために行われるゲームであり、2つ目は、プレイすることが目的のゲームがある。

この2つ目のゲームを作成するため、スチュワートたちは1年半がむしゃらに働きます。そのゲームは、「Game Neverending」と言われていました。

しかし、時期が良くなかったのです。ITバブルがはじけ、エンロン事件が起き、9.11事件が起こったため、ベンチャー企業に出資してくれる企業は限定的でした。

その頃、ゲーム内のメッセージ機能に写真を貼り付けるために作ったものがあり、それがflickrの初期の原型になりました。ここからflickrが誕生します。その数日後には、テックカンファレンスでゲーム制作中に活用していたいくつかの技術について話す予定でしたが、急遽flickrのアイディアについて話すことが決まりました。当初のアイディアは現在のflickrとは違い粗雑なものだったらしいのですが、写真を共有するという考えは聴衆の心を十分魅了しました。

flickrはその時代にはなかった特徴をいくつか持っていました。例えば、タグ機能です。現在Facebookのタグ付け機能やTwitterのハッシュタグ、はてなのブックマークタグといったようにタグは多くのサービスで使われていますが、そもそもはflickrによって有名になった機能です。

2003年12月に正式に開発を決定し、2004年2月に公開しました。その後、2004年5月か6月までには、現在のようなものに進化しました。

そこから先は、シリコンバレーの伝説とまで言われているため、知っている人も多いかもしれません。

flickr立ち上げから約1年後にYahoo!が約25億円で買収します。スチュアートとその他の従業員もYahoo!で働くことになりました。買収された当時は、総勢11人のチームで買収後は9人がYahooに移ったそうです。

3年後の2008年にスチュワートはYahoo!を辞めようとします。しかし、またも時期が悪かったのです。妻のCaterinaやその他多くの優秀な人材がYahoo!から抜け出していました。そのため、Yahooに説得されてしまい、数か月間は残ることになりました。しかし、その時期彼は何もしていませんでした。オフィスにさえ行っていなかったようです。

辞める際に彼は、非常に面白い退職メールを残していきます。これは、Yahoo!中に広がり、The Guardianまでも取り上げる始末になりました。もし読みたい方がいましたら、こちらのリンクから読むことが出来ます。(リンク先は英語です。全体的にジョークや比喩が入り混じったユーモラスなメールです)

Yahoo!退職後は、地元バンクーバーに帰り、またゲーム作りを始めます。

2009年にはそのための会社、Tiny Speckを立ち上げ、Glitchというゲーム作りに没頭します。塊魂で有名なゲームデザイナーの高橋慶太さんとその家族を東京から本社にわざわざ連れてきていたこともありました。

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↑ glitchのゲーム画面
画像:Mel

しかし、約1年後の2012年12月にサービスを終了します。その理由は、十分な数のユーザーを獲得出来なかったからと、このゲームを買ってくれる企業が見つからなかったからです。

ゲーム作りに凝りすぎたあまり、ユーザーにはついていけないゲームを作ってしまったのです。ゲームを体験した人のうち、たった5%の人しか継続してプレイしてくれませんでした。

ただし、このままでは終わらないのがスチュワート。ゲーム制作中に使用していた社内用のチャットツールを商品化してしまったのです。それがSlackです。

そして2013年1月からSlackの改良に本腰を入れ始め、その年の6月には友人に使用してもらっていました。8月には、試用期間が始まり認知度も徐々に上昇していき、2014年2月に本格リリースすることになります。

そこからは一切広告などはしていないにも関わらず、下の画像にあるように爆発的に広がっていきます。

そして最近、約43億円の増資に成功しています。

Slackの今

現在のSlackの状況についてここでまとめておきます。

  • 12万人以上のデイリーアクティブユーザー
  • 1.3万社以上が利用(なお競合の1つであるYammerは20万社です)
  • 2000社以上から約38,000人が有料版を利用
  • 有料版に関しては、現在は約$7のスタンダードプランのみ
  • このまま継続して使用してくれれば、年間3.5億円の収入見込み
  • 93%の人々はSlackを使い続けている
  • 週率平均5~10%のユーザー成長率

Slackの特徴

次は、Slackの特徴について具体的に見ていきます。なぜ多くの会社は既存のサービスからわざわざSlackに乗り換えているのでしょうか?

Slackについてはいろいろな良さがあると思うのですが、ここでは筆者(非エンジニア)が感じた良さ4点と弊社のエンジニアの方が感じている良さ4点について書いていきます。

筆者がこの3か月使ってみて以前のサービスよりも使いやすいと感じている点は、4点あります。

美しいUI

1点目は、シンプルかつ美しいUIです。一度Slackを使ってみたことがある人ならわかると思うのですが、非常に使いやすいです。

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説明はすべて英語なのですが、画面の構成は非常にシンプルで、感じとしてはFacebookのメッセージ画面が近いかもしれません。

画面左側には自分が所属しているチャンネルと、コンタクトをとることができる人が表示されており、中央部は選択したチャンネルのメッセージを上にスクロールしていくことで見れます。チャンネルとは、LINEのグループなんかが近いかもしれません。好きなグループを作ることができ、そこでやり取りできます。もちろん個人的にメッセージを送ることも可能です。

このデザインを担当した会社は、Metalabという会社で、メディアサイトであるBrit+Co.などのサイトデザインも手掛ける会社です。

検索機能

2点目は、検索機能が優れている点です。この検索機能は、Gmail並みに優れている、とある記事は報道しています。

実際、古いリンクやファイルなどを探したいときに、この検索機能は非常に便利だなと思っています。

アップデートが頻繁に行われる

サービスとしての改良は日々行われているようで、頻繁に新機能や改良が実装されています。要望にも対応してくれることが多く、nanapiも社内からの要望はどんどんあげています。

マルチプラットフォームで使いやすい

対応OSは「iOS(iPhone、iPad)」「android」、そして、「PC(Windows/Mac)」に対応。当方もiPhoneとandroid、PCの3デバイスから利用しているのですが、違和感なく利用できています(多少、OSによって仕様は異なるのですが)。

では、次にエンジニアの観点から見た良さを書いていきます。

エンジニアの方に伺った良い点4つは以下です。

他サービスのインテグレーションが豊富

1点目は、インテグレーションが豊富だとのことです。Git Hub、google drive、dropboxなどのサービスとの連携が非常に行いやすいです。例えば、Google docsへのリンクを張ると、Slackからファイルをそのままダウンロードできるようになります。

現時点では、全部で60個以上のインテグレーションが用意されています。

絵文字

2点目は、絵文字がたくさんある点とのことです。確かに、絵文字の場所をクリックするとたくさんの絵文字があるのがわかります。これによって、社内でも、絵文字を使ったコミュニケーションも増えていますよ。

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また独自の絵文字を設定することも可能です。

パーマリンク

3点目は、パーマリンクが設定されている点です。Slack内の全てのメッセージにはパーマリンクが設定されているため、メッセージ検索の際などに非常に便利です。

キーボードだけで操作

4点目は、キーボードでほぼ全ての操作を完結できる点です。Slackではいくつかコマンドを覚えると簡単にキーボードのみでSlackを扱えるとのことです。

個人的には「Ctrl+T」でのユーザ検索を愛用しています。ダイレクトメッセージを送る時に便利です。

このような良さがあるため、価格はほかのチームコミュニケーションツールよりは高いですが、多くの企業がSlackを使い始めているようです。また、多くの企業は最初無料版から始めるのですが、すぐに気に入ってしまい、有料版に切り替えるのだそうです。

チャットツール乱立の背景

近年、社内チャットツールが乱立しています。少し調べただけでも、Hipchat、Yammer、ChatWork、chatter、Flowdockなどなど、数えきれないぐらい出てきます。

なぜ今これほどまでチャットツールの乱立が起こっているのか?理由の1つとして「チャットツールはプラットフォームだから」という点が考えられます。このプラットフォームでいかに覇権をとれるかによって今後の収入が大きく変わると各企業は考えているようです(FacebookがWhatsAppをプラットフォームだとみなしたのと同様に)。

マイクロソフトやYahoo、Googleなどの大企業は、覇権をとりそうなベンチャー企業を次々に買収しようとしており、このこともチャットツール乱立の動きに拍車をかけているようです。例えば、マイクロソフトはYammerを2012年に1000億円以上かけて買収しています。そのほかにも、アトラシアンというオーストラリアのソフトウェア会社が同じく2012年にHipchatを買収しています。

このようにどの企業も社内用のチャットツールはこれからスタンダードになると考えているため、注力した動きを見せておりこの流れはますます加速していくものと考えられます。

今後追加される機能

Slackでは現在、2種類の料金プランが展開されています。下の画像でいうと、$0のLiteプランと$6.67のStandardプランです。

今後は、12ドルのプランとそれより高価なプランが追加される予定です。上位のプランでは、「どのように使っているかの分析」が可能になり、また「優先的なサポート」が受けれるとのことです。

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また、現在はEメールと連携したサービスは行われていないのですが、今後追加される予定とのこと。

Slackを利用する会社の声

なお、以下の動画ではサンドイッチビデオ社が利用しているSlackの感想を見ることができます。多くのコミュニケーションツールを統合できる点を特に評価しているようですね。

»“So Yeah, We Tried Slack …” – YouTube

終わりに

The Vergeの記事によると、スチュワートはSlackをマイクロソフトのようにしたいと考えているようです。記事の中で彼は以下のように言っています。

15年前、ほとんどのソフトウェアはマイクロソフトによって提供されていました。90年代中ごろ、私が最初に仕事をしていたとき、ほとんど全ての製品はマイクロソフト製でした。全ての製品は、連動するように設計されていました。ただ、現在ではマイクロソフトの占める割合はかなり小さくなってしまいました。これはほとんどのビジネスにとっては良いことだと思います。なぜなら、彼らは選択する権利をもつことができたからです。

しかし、そのような動きの欠点が目立つようになってきました。データがそこらじゅうに散らばってしまったからです。ZenDeskをカスタマーサポートに利用し、同時に多くの人々とTwitterで会話します。GitHubをソース管理に使い、これらすべての内部ツールを使用しています。3,000から4,000ものメッセージを人から受け取り、10,000から20,000のメッセージを外部のサービスから受け取ります。情報は散らばっています。

しかし、Slackを使えば、全てのメッセージを一つの検索ボックスで探すことができます。

以前は、マイクロソフトの製品だけでビジネスを完結することができていたように、Slackの画面をチェックしておくだけで、社内のメッセージはもちろん、社外からのメッセージまで把握できるプラットフォームをSlackは目指しているのと思われます。

つまり、コミュニケーションのプラットフォームとしてでなく、彼らの目指すところはツールのプラットフォームも視野にいれているのでしょう。そういう点では、Slackは、もはやコミュニケーションツールを超えて、サービスのプラットフォームなのかもしれません。

現在進行形でますます改良がくわえられ、使いやすくなっているSlack。まだ利用されていない方は一度、ご利用されてみてはいかがでしょうか。

なお、nanapiのテックブログの下記の記事ではSlackを使った社内コミュニケーションを紹介しております。是非こちらもご覧ください!

»チームの効率を最大化!nanapi流ChatOpsの取り組み | nanapi TechBlog

また、今回はSlackの徹底解説でした。同じ徹底解説記事としては、過去にBuzzFeedも調査しておりますので、ご興味のある方は以下からどうぞ。

»月間読者1.5億人を抱えるバイラルメディア「BuzzFeed」を徹底解説 | nanapiマーケティングマニア

参考記事

»East Venturesリサーチ閲覧用
»The Most Fascinating Profile You’ll Ever Read About a Guy and His Boring Startup
»Flickr cofounder Stewart Butterfield pledges to kill company email
»Third life: Flickr co-founder pulls unlikely success from gaming failure. Again
»Flickr Co-Founder Stewart Butterfield Turns to Workplace Communication Tools With Slack
»As Flickr Co-Founder Butterfield Shuts Down Glitch, Is He Planning A New Photo Service? ‘You Will Know It Well,’ He Says
»Flickr創設者S・バターフィールド氏インタビュー–Flickr誕生からヤフー退職まで
»10 reasons why I like Slack and think you should try it
»Slack, The Newest Enterprise Social Network, Is The Latest Effort From Flickr Co-Founder Stewart Butterfield
»8 Things We Love About the New Flickr
»SkypeやYammerよりも使いやすい!チーム向けコミュニケーションツール、Slackが超便利!
»Slack is killing email
»On Off and Beyond: FlickrファウンダーCaterina Fake、Flickrの起源を語る
»考えてみれば、2006年くらいってまだ社内でメールとかあったものなあ。今の小さい会社とかベンチャー… – Kensuke Furukawa

アップデート:

  • 8月29日11時0時分:細かい文言修正、Slackの利用社名の追加など
  • 8月29日18時15時分:「slack」の表記を「Slack」に統一(ロゴはslackだが、他ではSlackが利用されておいる点より)
  • 「このまま継続して使用してくれれば、年間3500億円の収入見込み」の「3500億円」は「3.5億円」の間違いでした。大変失礼しました

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