こんにちは、nanapiマーケ室です。
今回は海外のテック界が今最も注目しているVR(Virtual Reallity)のヘッドセットである「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」について紹介します。
Oculus Riftってなに?
Oculus Riftとは、アメリカのPalmer Luckey氏によって創設されたOculus VR社が開発したバーチャルリアリティに特化したHDM(ヘッドマウントディスプレイ)のことです。
平易に言えば、ゴーグルのように頭につけたディスプレイで、頭の動きに合わせて映像が変化するといったサービスです。それによって、仮想現実の世界に入り込んだような体験ができます。
CEOのPalmer氏は従来のゲーム機に満足できず、「自分で作ってしまおう!」と思い立ち、’Step into the game(=ゲームの中にはいろう)’というコンセプトのもと、Oculus Riftをつくりました。Oculus VR社は2014年上旬に、Facebookが約2000億円で買収したことで、ちょっとしたニュースになっていたのでご存知の方も多いかも知れません。
まず、創設者のPalmer氏は開発するための資金を集めようと2012年にクラウドファンディングサービスであるKickstarterで開発費を募集しました。すると、目標額25万ドルを大幅に上回る240万ドル(当時、日本円にして約2億円)を調達することに成功し、Oculus Riftの開発に着手しました。この資金額は、ゲーム界を変える可能性を秘めたOculus Riftへの期待値とも読み取れます。
さて、そんなOculus Riftを実際に装着した写真がこちら。
ゲームセンターなどに行かなくても、自宅でバーチャルゲームが味わえてしまうのもOculus Riftの魅力の一つです。画面の中ではどのようなことが行われているのか、気になりますね!
徐々に解明していきましょう。
何がどうすごいの?
今までもVR機器はありましたが、ここまでテック界の注目を集めるOculus Riftの魅力は一体何なのでしょうか?
何よりもまず臨場感がすごい!
Oculus Riftの臨場感は実際に自分がゲームの中にはいりこんでしまったのではないか、と錯覚してしまうほど。従来のVRゲームにはなかったトラッキングという機能がこの臨場感を可能にしています。
前後左右、現実世界の自分が頭を動かすと、それに合わせて仮想現実の中の視界も動きます。上を向けば空が、下を向けば地面が!従来のゲームでは見ることのできなかったところまで、自分の意思で見ることができてしまいます。全てがリアル、かつ3Dなので、そこが仮想現実なのか現実なのか分からなくなってしまうかもしれません。
上の写真からもわかるように、上を向いている人、下を向いている人、さまざまです。同じソフトを遊んでいても人によって見ているものが違い、それぞれに発見があるというのはOculus Riftならではですね!
人気ソフトの1つ「Rift Coaster」というジェットコースターに乗っているVRを体験できるソフトを、実際に利用している動画がこちらです。
まるで本当のジェットコースターに乗っているかのようなリアクション。この没入感は今までのVRゲームとは比べ物になりません。
視野が広くゲーム世界のスケールが大きい
Oculus Riftのウェブサイトにも書かれている通り、Oculus Riftのゲームの世界は前後左右、画面いっぱいに広がっています。
従来のゲームならば、プレイヤーがゲームの世界を上から客観的に見てる感覚(現実世界では見えない範囲まで見えることもある)でしたが、Oculus Riftは実際に自分が現実の世界で見える範囲の景色しか見ることができません。
また、遠くのものは小さく、近くのものはしっかりと大きく見えるところが、今までのゲームをはるかに上回る没入感を可能にしています。
可能性が未知数
世界中のテック界から大注目されているOculus Riftですが、実はまだ100%の完成には至っていません。完成された製品ではないのにも関わらず、ここまでの注目度。その理由は、Oculus Riftが、今まで築かれてきたゲーム界を変えるかもしれないという可能性を持っているからです。
こちらの動画をご覧ください。
これは、Oculus Riftと、「Virtuix Omni」というルームランナーのようなデバイス、「Kinect」という動きを感知するデバイスを組み合わせて遊ぶFPSゲームの様子です。現実世界の自分が走ればゲームの中の自分も走り、現実世界の自分が止まればゲームの中の自分も止まり、さらにOculus Riftのヘッドトラッキングによって自分の視界も思うがままに動かすことができます。
この組み合わせで正式に販売されているわけではありませんが、Oculus Riftの開発により、遠くない未来でこのような全身を使ったより現実に近いゲームが家で楽しめるようになるかもしれません。
自分でソフトも作れる
こちらの動画は、海外でも人気のジブリ作品「となりのトトロ」の世界を体験できるゲームです。海外のチームが非営利目的で作ったソフトであり、公式ソフトではありません。
筆者も実際に、トトロの世界を体験しました。まず一番最初に驚いたのは、風景が原作に忠実で雨の音がとにかくリアル!ということです。「トトロが大好きで原作を何度も見たことがある!」という方でも楽しめるソフトだと思います。このソフトはトトロがバス停で猫バスを待っているシーンを再現したものなのですが、トトロより先にバス停について、歩いてくるトトロを見ることができ、トトロの大きさに驚きました。
映画では走り去ってしまう中トトロと小トトロも、このゲームでは追うこともでき、映画では見れなかったシーンを見ることもできます。トトロがこっちを見てくれないのが少し寂しくはありますが、自分が本当にジブリの世界に入り込んでしまったかのような錯覚を体感することが可能です。
今回はトトロの世界を体験してきましたが、技術さえあれば、自分でソフトを作ることも、自分が大好きなアニメの世界に入ることもできるかもしれません!
様々なところで賞賛の声!
Oculus Riftへの注目度はさまざまなところで垣間見ることができます。たとえば、こちらの「記事」によると、以下の賞も受賞されています。
- 2013年のE3における「Game Critics Award」で、「ベストハードウェア賞(Best Hardware/Peripheral )」受賞
- ゲームメディアのIGNによる2013年のE3において「もっともCoolなテクノロジー」に選ばれる
- Forbes誌の30代未満のCEOのゲーム部門でOculus VRの創業者「Palmer Luckey」氏が選ばれる
世界最大のコンピューターゲーム関連の見本市、「E3(Electronic Entertainment Expo)」でPS4やXbox oneを差し置いて、ベストハードウェア賞を受賞した、というのは驚くべき結果です!
また、ゲーム業界の著名人も下記のようにOculus Riftを絶賛しています!
What I’ve got now, is, I honestly think the best VR demo probably the world has ever seen.
(ここにあるのは世界でもっとも素晴らしいVRデモだ)
- John Carmack, id Software
I think this will be the coolest way to experience games in the future. Simply that… that big.
(これは未来で最もクールなゲームを体験できるものだ)
- David Helgason, CEO Unity
Needless to say, I’m a believer… We’re extremely excited here at Epic Games to get the Unreal Engine integrated with Oculus.
(言うまでもなく、僕はもうOculus Riftの信者だ。このEpic GamesのUnreal EngineとOculusを連携させるのがとても楽しみだ)
- Cliff Bleszinski, Design Director Epic Games
Oculus Riftの今後
今すぐにでも手に入れたいOculus Riftですが、2014年9月3日現在ではまだ一般販売はされていません。しかし、2014年7月に完全予約制のOculus Rift開発版(第二世代)が出荷されています。こちらは開発者向けの製品であり、一定以上のゲーム・パソコンの技術スキルが必要となります。
Oculus Riftの欠点ともいうべき解像度の低さに関して、第二世代では、なんと1920×1080ドット(フルHD)のものに変更されます!画質がきれいになることで、Oculus Riftの没入感がアップすること間違いなしです。
さらに、第二世代では、外部の赤外線カメラを利用して頭部の位置をトラッキングできる機能も搭載されました。これにより、頭の向きだけでなく頭の位置も感知され、プレイヤーの動きをより精密に反映することができるようです。
そちらは350ドルで販売されています。ここまで大注目されているソフトなのに、意外と安価ですね!ゲームやパソコンの技術スキルに自信がある方は、購入を検討されてみてもいいかもしれません。
一般販売はいつになるのかまだわかりませんが、Oculus Riftが一般販売され、普及されたとき、ゲーム界の歴史が変わるかもしれませんね。今後ともOculus Riftから目が離せません!
nanapiでもOculus Riftを体験してみた!
nanapiでもOculus Riftを購入し、実際に体験してみました。その様子がこちらです。
こちらは、上記でも紹介した「Rift Coaster」というジェットコースターのVRを体験できるソフトを利用している様子です。
進行方向に自然と体が傾いてしまったり、落下の際には身構えたりなど、体験し終わったあとは実際にジェットコースターを降りたあとのような疲労感と心拍数でした。ジェットコースターが落下するときには、心臓が委縮するような感覚までばっちり体験できます!
おまけ
世界から大注目されているOculus Riftを開発した会社の創始者、Palmer Luckeyはなんと21歳!日本のアニメが大好きだそうです。
(image by Adam Griffith)
(image by Sergey Galyonkin)
(image by BagoGames)
(image by Draxtor Despres)
参考サイト
»Y-WORKsの書き出し(E) — HMDをほとんど知らない人向けにOculusの凄さを説明した無茶な記事
»仮想現実HMD「Oculus Rift」の開発者向けキットを入手したのでさっそく使ってみた。これがゲームの未来か? – 4Gamer.net
»Facebookが買収した3D仮想現実デバイス「Oculus Rift」は「情報の共有」から「体験の共有」の時代のデファクトスタンダードとなるか (1/3):MarkeZine(マーケジン)
»Oculus Rift – Virtual Reality Headset for 3D Gaming | Oculus VR®
»Oculus Rift: Step Into the Game by Oculus — Kickstarter
»Red of Paw | Adventures in Game Development
»ヘッドマウントディスプレイOculus Riftの結局何が凄いのか分からない人へ – 野生のはてなブログ
Update
- Oculus Rift Development Kit 2の価格を当初は「完全予約による直接販売で、日本円で59,800円で購入することができます。」と記載しておりましたが、こちらは間違いでした。訂正しております。大変失礼しました。
- 「Oculus Rift開発版(第二世代)」の出荷日を「2014年8月11日」としておりましたが、間違いとなります。「2014年7月」に修正しております。
- 当初「野生のはてなブログ」様の引用に関してURLが抜けておりました。失礼しました
- Oculus Riftの受賞歴の箇所で「2013E3で、「2013E3の中で一番驚いたゲーム」に認定」と記載していた箇所に間違いがありましたので、「ゲームメディアのIGNによる2013年のE3におけるOculus Riftのゲームデモが「もっともイノベーティブ」「もっともCool」な賞に選ばれる」に修正しました