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元TechCrunchのライターが立ち上げたテックメディア「Pando Daily」を徹底解説

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こんにちは、nanapiマーケ室です。

今回は、最近、目にすることが多いテックメディア「Pando Daily」を紹介します。

Pando Dailyは、2012年の1月に立ち上げられたアメリカのテックメディアです。得意としている分野は、スタートアップ関連(特にシリコンバレー界隈)です。

Pando Dailyは、日本ではまだ馴染みが薄いかも知れませんが、TechCrunchなら知っているという方は多いのでは。このメディアは、そのTechCrunch出身のサラ・レーシー(Sarah Lacy)さんが始めたメディアであり、他にも何人か元TechCrunchの記者を連れてきているため、記事内容はTechCrunchと似たような内容も散見されます。

最近では有料会員サービスに手を広げるなど、新たな動きも見えるPando Daily。そこで、今回はPando Dailyが持つ特徴をいくつか紹介していきます!

名前の由来

Pando Daily。変な名前ですよね。ちなみにPanda(パンダ)ではありません。

さて、その意味なのですが、Pandoはアメリカのユタ州にある森林地帯Pando Treesからとられたようです。この森林の特徴は、見事な森林もさることながら、地下に広がる根のネットワークが素晴らしいと言われています。世界最古の生態系といわれています。

創業者であるサラは、この状況がそのままシリコンバレーに当てはまるといいます。シリコンバレーで多数スタートアップが生まれている背景には、シリコンバレーという場所に根付いた環境がそうさせているのだと言います。

そこから「表面には表れないスタートアップの活動と表面に見えている活動の両方を記録する場」として「Pando Daily」という名前になったようです。

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(ユタ州の森林地帯 画像:Phil Konstantin

Pando Dailyの沿革

次に、Pando Dailyが出来た経緯について見ていきます。始まりは、上記の通り、サラ・レーシー(Sarah Lacy)さんによって2012年1月に立ち上げられました。

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(サラ・レーシーさん。画像:kris krüg

立ち上げの直接的な原因になった出来事は、AOLによるTechCrunchの買収です。AOLといえば、日本ではインターネットサービス会社として有名ですが、アメリカの本国では、2009年ごろより積極的にメディア事業にも進出してきました。なお、AOLはTechCrunchのほかにも、Huffington Post等も買収しています。

Pando Dailyの創業者であるサラさんは、その頃TechCrunchで編集者として働いており、AOLの買収に強く反対していました。理由は、「AOLが干渉することで、記者が面白い記事を書けなくなり、品質が落ちるから」と主張。AOLも買収の際は、TechCrunchに干渉することはないと言っていたのですが、案の定干渉が強まってきます。その結果、PVが落ちてきたそうです。

そこで、サラは独立を決心します。独立の際には、TechCrunchの仲間を何人か連れて行きました。

そのあとは新しいサイトのデザインをSara Cannonさんという方に8000ドルで依頼。また、多数の著名人やベンチャーキャピタルから約250万ドルの投資を集めます。その著名人の中には、Netscapeの共同創業者マーク・アンドリーセンさんなども含まれています。

このようにして立ち上げられたPando Daily。次は、サイトの構成について見ていきます。

サイトの構成

Pando Dailyのサイトはとてもシンプルです。

pando daily home

ニュースをカテゴリーに分けることはしていません。ただし、ニュースと動画は分かれています。

記事の内容ですが、やはり、基本的にはシリコンバレー関連とスタートアップ関連の記事が多いようです。現在1日当たりの記事の本数は、目視したところ、平日はおおよそ5~10本、休日は1,2本といったところです。

調査報道に注力

2013年の11月にデジタル出版を手がける「NSFWCORP(Not Safe For Work Corporation)」を買収しました。NSFWCORPもPando Dailyと同じく、TechCrunch出身の記者であるポール・カー(Paul Carr)さんが立ち上げたメディアであり、政治系の長文記事を得意としています。

NSFWCORPの従業員達は、買収されたあともポールさんを中心として調査報道に取り組んでいます。記事の更新頻度は、1週間に1、2回を目安にしているようです。

最近の調査報道の記事としては、「Apple hit with class action suit for spying on iPhone users (Here are the court filings)“Appleはアイフォンユーザーにスパイ行為をはたらいたとして集団訴訟を起こされている(裁判所に提出された書類付き)」などが挙げられます。

Pando Daily investigation report

↑ この記事では実際に裁判所に提出された書類の全文(画像内赤枠)も見ることが出来ます。

収益モデル

Pando Dailyの収入源は、主に2つあります。スポンサード広告有料会員サービスです。

まず「自動広告」を行っていない点は特徴的です。また、有料会員サービスを行っている新興メディアは珍しいため、以下で詳しく見ていきましょう。

スポンサード広告

Pando Dailyも他のメディアと同じくスポンサード広告で収入を得ています。

ただし、あるテーマに対してスポンサーになるといいう特徴があります。Pando Dailyが事前に公開する「スポンサー募集のテーマ」に対して、広告主はスポンサーになります。

記事はPando Dailyが執筆しますし、広告主は事前に記事を確認することはありません。そのスポンサーになると、記事の周囲に大きな広告を表示することが出来ます。

毎月、大きなテーマがPando Dailyによって定められ、それに関連する記事が月に5、6本書かれます。

具体例を見てみましょう。以下は、eBayが買収した決済プラットフォーム「Brain Tree」がスポンサーになったテーマ「”My Big Break: How the tech legends of Silicon Valley got their start”(シリコンバレーの伝説の人たちはどのようなスタートをきったのか)」です。

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↑ トップページからの導線は上記のように貼られます。
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↑ 該当テーマは上記のようにスポンサーのバナーがたくさん表示されます。

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↑ 記事本文にも以下のようにバナーが貼られます。

また、全てのスポンサードコンテンツの記事の本文が始まる前には、下記のような注意書きが記載されています。

「この記事にはスポンサーがついていますが、記事自体はPando Dailyが責任を持って執筆、編集した記事であり、スポンサーとは何の関係もありません」とのこと。

ただし、現時点ではスポンサードテーマを見ることができないため、どれくらい売れているのかはわからないところであります。

有料会員サービス

現在、Pando Dailyは有料会員サービスを2種類実施しています。マンスリータイプの有料会員サービスと、毎月開催するイベントに参加する権利を得ることが出来るメンバーシップの2種類です。この有料会員サービスは、今年中には出来あがる予定で現在は一部利用できないサービスもあるものの、基本的には利用できます。

1. マンスリータイプの有料会員サービス

Pando Dailyのウェブサイトによると、毎月30ドル、もしくは年間300ドル払うと、以下のサービスが受けられます。

  1. Pando Dailyが毎月開催するイベントへの参加権
  2. Pando Dailyが4半期ごとに発行する季刊誌
  3. 会員限定のレターメール(毎日配信)
  4. ナッシュビルで開かれるPando Dailyのカンファレンスの大幅ディスカウント
  5. メンバー限定のディナー、イベント、パーティーへの参加権

2. イベントの参加権を得るメンバーシップ

1の有料会員とは別に、毎月開催するイベントとメンバー限定のディナーやパーティーに参加することが出来るメンバーシップも販売されています。

自分が住んでいる場所によって、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨークから選べます。3か所すべてのイベントにアクセスする権利があるメンバーシップは、2000ドル(約20万円)かかります。1か所どこか限定でアクセスするメンバーシップは、800ドル(約8万円)です。

最近のイベントですと、2014年8月14日にサンフランシスコで開催され、ゲストはLinkedInのCEO、Jeff Weinerが登壇しました。

終わりに

上で紹介した有料会員サービスなど面白い試みを続けているPando daily。最近では、テックブログにも関わらず、政治系のニュースにも手をだし、失敗したことも認めています。

これからどんな動きがPando dailyから生まれてくるのか、注目です。また、テックブログの中でどこが覇権をとるのかについては、今後楽しみです!

参考記事

»Why I Started PandoDaily
»元TechCrunchベテラン記者が新スタートアップ系ニュースサイト「PandoDaily」
»元TechCrunch記者、新興企業関連ニュースを掲載するサイト「PandoDaily」を開設
»米テックメディア「PandoDaily」、調査報道に注力へ
»Sarah Lacy Debuts New Tech Site, PandoDaily — $2M+ in Funding and Guess Who’s Working for Her? (Video)
»A better way to do sponsored content (we hope)
»Be the first to become a Pando member
»Paul Carr talks about why NSFW Corp. failed — but also what it almost got right
»PandoDaily Acquires Paul Carr’s NSFW Corp
»PandoDaily acquires NSFWCORP to double down on investigative reporting
»TC Alum Sarah Lacy Launches New Tech Blog, PandoDaily
»State of Pando: Exploding traffic, surging revenues… but some mistakes too


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